(1)年末調整を行うのはなぜですか。

年末調整を行う主な理由は次のとおりです。

1)月々の給与を支払う際の源泉徴収税額表は、毎月の給与が年間を通して変化がないものとして作成されています。

2)年の中途で、控除対象扶養親族の数に異動が生じても、異動後の支払い分から修正します(遡って、各月の源泉徴収税額を修正しません)。

3)配偶者特別控除や生命保険料・地震保険料の控除等は、年末調整で控除するとされています。



(2)年末調整の対象者と事務手順の概要について教えてください。

年末調整の対象者は、原則として給与の支払者に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人となります。
ただし、主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人、年の途中で退職した人など一定の場合には、年末調整の対象外となります。
年末調整の事務手順の概要は、次のようになります。

年末調整の提出書類

給与所得者から給与の支払者への提出書類は次のとおりです。

  • 1)給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 2)給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書(証明書類の添付)
  • 3)給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
    次に掲げる証明書の添付が必要となります。
    ア.税務署長が発行した「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」
    イ.金融機関等が発行した「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」

課税給与所得金額に対する算出所得税額の計算
給与の支払者では、「年末調整の提出書類」と添付された「生命保険料控除証明書」等に基づき、生命保険料控除額、配偶者控除額、扶養控除額等を計算し、課税給与所得金額と「平成29年分の年末調整のための算出所得税額の速算表」により、算出所得税額を計算します。
給与所得控除後の給与等の金額 - 所得控除額の合計額 = 課税給与所得金額
課税給与所得金額(A) × 税率(B) - 控除額(C) = 算出所得税額

平成29年分の年末調整のための算出所得税額の速算表

課税給与所得金額(A) 税率(B) 控除額(C) 税額=(A)×(B)-(C)
1,950,000円以下 5% --- (A)× 5%
1,950,000円超 ~ 3,300,000円以下 10% 97,500円 (A)× 10% - 97,500円
3,300,000円超 ~ 6,950,000円以下 20% 427,500円 (A)× 20% - 427,500円
6,950,000円超 ~ 9,000,000円以下 23% 636,000円 (A)× 23% - 636,000円
9,000,000円超 ~ 17,420,000円以下 33% 1,536,000円 (A)× 33% - 1,536,000円

(注1)課税給与所得金額1,000円未満は切捨てとなります。

(注2)課税給与所得金額が17,420,000円を超える場合は、年末調整の対象となりません。


年調所得税額の計算
住宅ローン控除の適用がない人については、上記の算出所得税額が年調所得税額となります。住宅ローン控除の適用を受ける人については、上記の算出所得税額から住宅ローン控除額を控除した額が年調所得税額となります。
ただし、上記の算出所得税額よりも住宅ローン控除額の方が多い場合は、年調所得税額は0円とし、控除しきれない部分の金額は切捨てます。


年調年税額の計算
上記の年調所得税額に102.1%を乗じた金額が復興特別所得税を含む年調年税額(100円未満切捨て)となります。


還付税額、不足税額の精算
年調年税額と本年分の毎月の徴収税額の合計額を比べて過不足を求め、「過納額の還付」又は「不足額の徴収」を行い精算いたします。



(3)年末調整で気をつけることはありますか。

年末調整は、1年に1回の事務であり、提出書類の不備や記載の誤りが起こりやすくなります。
国税庁作成の「平成29年分年末調整のしかた」では、次の情報が掲載されていますので、年末調整事務に取りかかる前、あるいは、年末調整事務を終えられた後の再確認等に活用願います。


(4)年末調整後、年末までの間に給与の追加払い等の異動が生じた場合は、どうなりますか。

年末調整が終わった後、本年中に本年分の給与の追加払いが生じた場合、結婚して控除対象配偶者を有した場合等、次の事由が生じたときはこれらの異動事項の申告を受け、異動後の内容を基にして年末調整のやり直しをすることになります。

  • 1)年末調整後に給与の追加払があった場合
  • 2)年末調整後に扶養親族等の数が異動した場合
  • 3)年末調整後に配偶者特別控除の適用を受けた配偶者の所得の見積額に差額が生じた場合
  • 4)年末調整後に保険料を支払った場合
  • 5)年末調整後に住宅借入金等特別控除申告書の提出があった場合
    (注)年末調整のやり直しができる期限は「給与所得者の源泉徴収票」を受給者に交付することとなる翌年1月末日までとなります。


(5)実務上の留意事項

扶養控除等(異動)申告書の受理

給与の支払者は、申告書を受理した場合には、その記載が正しく行われているかどうかを確かめた上、申告書に基づき、各人の源泉徴収簿の「扶養控除等の申告」欄に必要な記入を行い、また、源泉徴収簿の左肩の「甲欄」を○で囲みます。



住民税に関する事項
給与の支払を受ける人は、毎年最初に給与の支払を受ける日の前日までに地方税法の規定による「給与所得者の扶養親族申告書」を給与の支払者に提出を要します。
所得税の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の用紙は、地方税法の規定による「給与所得者の扶養親族申告書」と統合した1枚の様式となっています。
給与の支払いを受ける人は、「住民税に関する事項」欄に年齢16歳未満の扶養親族を記載(マイナンバー(個人番号)の記載が必要です)を要しますので、給与の支払者は、申告書を受理した場合には、「住民税に関する事項」欄の記載が正しく行われていることの確認を要します。



マイナンバー(個人番号)の提供を受けた場合の本人確認

給与の支払者が給与所得者からマイナンバー(個人番号)の提供を受ける場合は、本人確認として、提供を受ける番号が正しいことの確認(番号確認)と、番号の提供をする者が真にその番号の持ち主であることの確認(身元確認)を行う必要があります。
なお、給与の支払者が本人確認を行う必要があるのは、マイナンバー(個人番号)の提供を行う給与所得者本人のみとなります(源泉控除対象配偶者や控除対象扶養親族等の本人確認は、給与所得者が行うこととなります)。

(注1)番号確認については、マイナンバーカード、通知カード等で確認するほか、一度本人確認を実施の上作成した特定個人情報ファイル(マイナンバー(個人番号)をその内容に含む個人情報データベース)を参照することにより確認することも認められています。

(注2)身元確認については、マイナンバー(個人番号)の提供をする者が従業員であり、採用時等に一度本人確認を行っている場合には、本人を対面で確認することにより身元確認書類の提示を受けることは不要となります。

(注3)扶養親族等の本人確認のうち、身元確認については、給与所得者がその扶養親族等を対面で確認することにより、身元確認書類の提示を受けることは不要となります。




国外居住親族に係る扶養控除等の適用に係る書類の添付等
年末調整において、非居住者である親族(国外居住親族)に係る扶養控除等の適用を受ける場合には、親族関係書類及び送金関係書類を源泉徴収義務者に提出又は提示する必要があります。



(6)平成30年から変わる事項

1)配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額の改正
合計所得金額が1,000万円を超える居住者については、配偶者控除の適用を受けることができないとされました。配偶者特別控除については、対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下とされました。配偶者控除及び配偶者特別控除の額については、国税庁「平成29年分 年末調整のしかた」のP72【改正後の配偶者控除額及び配偶者特別控除額の一覧表】を参照願います。



2)配偶者に係る扶養親族等の数の計算方法の変更
源泉徴収税額表の甲欄を使用して給与等に対する源泉徴収税額を求める際、配偶者が源泉控除対象配偶者(注1)に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算します。
また、同一生計配偶者(注2)が障害者に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算します。

(注1)源泉控除対象配偶者とは、居住者(合計所得金額が900万円以下である人に限ります)と生計を一にする配偶者で、合計所得金額が85万円以下である人をいいます。

(注2)同一生計配偶者とは、居住者と生計を一にする配偶者で、合計所得金額が38万円以下である人をいいます。


具体的な扶養親族等の数の計算方法については、国税庁「平成29年分 年末調整のしかた」のP73【配偶者に係る扶養親族等の数の数え方】を参照願います。



3)給与所得者の扶養控除等申告書等の様式変更等
「給与所得者の配偶者特別控除申告書」が「給与所得者の配偶者控除等申告書」に改められ、年末調整において配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けようとする居住者は、年末調整のときまでに給与等の支払者に当該申告書を提出しなければならず、当該申告書の記載事項の見直しが行われています。また、上記1)及び2)の改正に伴い、次の申告書についても記載事項の見直しが行われています。


①給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

②公的年金等の受給者の扶養親族等申告書

③従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書


(注)税務署で配布していた「給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」(兼用様式)については、「給与所得者の保険料控除申告書」と「給与所得者の配偶者控除等申告書」の2種類の様式となります。


文責:全労済協会