暮らしの役立ち情報

医療保険編「退職後の健康保険制度」

今回は医療保険の応用知識として「退職後の健康保険制度の選び方」のポイントをご紹介します。退職後も何らかの公的健康保険制度に加入することになりますが、いくつか選択肢があります。加入にあたっては手続き期限がありますので、退職前に情報収集しておきましょう。

●退職後の公的健康保険制度の選択肢

選択肢 健康保険の任意継続被保険者になる 国民健康保険に加入する 家族の健康保険の被扶養者になる 新たな勤務先で健康保険に加入する
加入要件 資格喪失日の前日まで継続2か月以上被保険者であったこと ほかの公的健康保険制度に加入していないこと 60歳以上の場合:年収180万円未満であることなど 所定労働日数と所定労働時間で判断
保険料 保険料の全額を自己負担※1 上限あり 保険料の全額を自己負担※世帯単位 不要 標準報酬月額・標準賞与額×保険料率※1
適用期間 原則、2年間 原則75歳になるまで 原則75歳になるまで 原則75歳になるまで

(※1)保険料率は都道府県ごとに異なります。協会けんぽの場合、任意継続被保険者は退職時の標準報酬月額が28万円を超えていた場合は、標準報酬月額は28万円で保険料を計算します。

選択肢1:健康保険の任意継続被保険者になる

退職して健康保険の被保険者資格を喪失した場合、「任意継続被保険者」として在職していた勤務先の健康保険制度に引き続き加入することができます。
健康保険の任意継続被保険者になるには、在職中に被保険者期間が継続して2か月以上ある人で、退職日の翌日から20日以内に住所地を管轄する全国健康保険協会(協会けんぽ)の都道府県支部または健康保険組合に申請が必要です。
被保険者となることができる期間は退職後2年間で、家族も引き続き、被扶養者になります。
任意継続被保険者の保険料は退職した時の標準報酬月額(平成28年度の協会けんぽの上限は28万円。健康保険組合は各健康保険組合に問い合わせをしてください。)によって決まります。
なお、在職中は、被保険者と事業主の折半で健康保険の保険料を負担していましたが、任意継続被保険者の保険料は全額自己負担になります。
注意点は保険料を納付期日までに納付しなかったときは任意継続被保険者の資格を喪失することです。
任意継続被保険者は、原則として、在職中と同様の保険給付が受けられます。
ただし、退職日まで継続して1年以上被保険者であった人が、退職日時点で傷病手当金や出産手当金を受給しているか、あるいは受給条件を満たしている場合を除いて、傷病手当金と出産手当金を受給することはできません。

ページトップへ戻る

選択肢2:国民健康保険に加入する

居住地の市町村(特別区を含む)が運営する国民健康保険に加入する方法があります。
加入手続きは資格喪失後14日以内で、手続きは居住地の市町村(特別区を含む)役場で行います。
国民健康保険の保険料(税)は、市町村(特別区を含む)ごとの基準(「所得割」、「資産割」、「均等割」、「平等割」の4種類の組み合わせ。)に基づいて、一世帯あたりの年間保険料(税)を計算します。
勤務先を退職した人の場合、前年の所得に基づいて計算されるため、在職中の賃金が高いと保険料が高額になることがあります。
なお、扶養家族がいる場合には、家族の人数に応じた保険料も負担することになります。
国民健康保険の保険料(税)は4種類の組み合わせの仕方やそれらの金額や保険料率などは各市町村(特別区を含む)によって異なるため、居住地によって一世帯あたりの保険料が異なりますので、退職前に居住地の市町村(特別区を含む)役場で保険料(税)を試算してもらいましょう。
なお、国民健康保険料(税)は倒産や解雇など非自発的失業者に対し、国民健康保険料(税)の軽減制度があります。

【用語解説】
所得割…その世帯の所得に応じて算定する方法。
均等割(被保険者均等割)…加入者一人あたりいくらとして算定する方法。
資産割…その世帯の資産に応じて算定する方法。
平等割(世帯別平等割)…一世帯あたりいくらとして算定する方法。

ページトップへ戻る

選択肢3:家族の健康保険の被扶養者になる

退職後、配偶者や子どもなどが加入している公的健康保険の被扶養者になる方法があります。
主として被保険者の収入で生計を維持している75歳未満の人で、一定の要件を満たさなければなりません。

【被扶養者になれる人の範囲】

被保険者と同居していても別居していてもよい人 被保険者と同居していることが条件の人
  • 配偶者(内縁関係でも可)
  • 子、孫および弟妹
  • 父母、祖父母などの直系尊属
  • 兄姉、伯叔父母、甥姪などとその配偶者、孫・弟妹の配偶者、配偶者の父母や連れ子など左記以外の3親等内の親族
  • 内縁関係の配偶者の父母、連れ子
  • 内縁関係の配偶者死亡後の父母、連れ子

【生計維持関係は生活の実態に合わせて判定】

認定対象者が被保険者と同一世帯の場合 認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合
認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上または障害者の場合は180万円未満)、かつ、原則として被保険者の年間収入の2分の1未満であること 認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上または障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助(仕送り)による収入額より少ないこと

加入手続きは資格喪失から5日以内に家族の勤務先を通じて行い、保険料の負担はありません。

ページトップへ戻る

選択肢4:新たな勤務先で健康保険に加入する

雇用継続や転職をし、新たな勤務先が健康保険の適用事業所の場合には新勤務先で健康保険制度に加入することになります。
健康保険に加入するには判断基準があります。 次の(ア)および(イ)のいずれにも該当する場合は、原則として被保険者になります。

  • (ア)所定労働日数
    1か月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上であること
  • (イ)所定労働時間
    1日または1週の所定労働時間が一般社員の4分の3以上であること

ページトップへ戻る