雇用創出事業の課題

―長期雇用創出事業が始まり、協議会と地域の拠点とのアンマッチが生じているようですが、課題はなんでしょうか?

ご存じのようにグローバルな生産ネットワークの中で、東北地方の人たちは、生真面目な地域文化をも資源にして、非常に堅実なものづくりで大きな存在感を実は示してきたわけです。そうした意味では、グローバル経済の中でこれから明らかに大きな競争力と成長可能性が期待される分野があります。

ただ、それは規模としてはそう大きくないわけです。一方では、生産性が高い部門ではないのですが、高齢化が進む地域の中で、人々のニーズがあり、それを吸収していくことで仕事をつくっていくことができる分野があります。

前者については、日本全国の平均からしても地域のネットワークがむしろかなりしっかり出来上がっています。例えば、宮古市などでは公共職業訓練と高校と事業者、大学のネットワークがものづくり産業を支えてきたわけです。これに対し、次の課題は必ずしも生産性が高いとは言えない保健、介護、医療のような分野でどのように仕事をつくっていくのか。その仕事を担う事業者として、例えば社会的企業などが期待されますが、その活力をどう組み込んでいくのか、そのためのネットワークをつくっていかなければいけないわけです。

いま被災地で内閣府が展開している社会的企業支援の補助金事業は、社会的企業を起こしていく起業支援の事業が中心ですが、時間がかかる話ですよね。社会的企業を呼び込み、保健、介護、医療の仕事づくりを担ってもらうサイクルにはまだなっていないところもあります。社会的企業の活用を含め、その分野での雇用創出、仕事起こしが課題になっていると思います。