『いろどり』を続けて25年

―『葉っぱビジネス いろどり』の立ち上げから25年が経過しましたが、25年前と今と、上勝町のお年寄りの皆さん、あるいは地域社会全体、どのように変わったかについて、少し教えていただけますか。

顔が良うなったね(笑)。25年前と今だったら、今は年齢が25歳重なったわけですね。ところが、顔は当時より若いですね。当時より顔がいい。照りがあります。これは若い人もそうですが、自分の中に何か役割とか自分を持っていると顔というのは照りが出てきます。自分が世の中の人に認められたり、自分にすることがあると、顔がつやつやしてきます。同じおばあちゃんでも、昔の写真と今の写真を見たら、今のほうが20年前より若いです。こんなに違うかと思うぐらい若いです。

当時一番いけなかったことは、『してくれる』、『やってくれる』というところにどっぷり漬かっていたことです。結局、自分を持っていない。国がしてくれる、県がしてくれる。今の被災地に少し当てはまるかもしれないですが、誰かが何かをやってくれるというところにじーっといるわけです。じーっといていると、先ほど言ったように顔など照ってくるわけがないのです。自分ができることをやってみよう。自分がやれることの中で居場所や出番をみつけると、すごく生き生きとした照りが顔に出てくるようになってきます。
このことが、一番よく表れているのが高齢者の医療費だと思います。上勝町は徳島県内の市町村の中で、高齢者医療費が最も少ない町です。多いところと比べてみると、一人当たり20万円以上違う。これはやはり朝起きたときに自分がすることがある、やりたいことがあるからです。地域にとって一番いいのは、少しでもお金を稼ぐことができ、使う費用が少ないこと。お医者さんに行かないとか。ちょっとでも稼いで、例えば高齢者は1日2,000円でも、3,000円でもいいと言う。2,000円でも3,000円でも稼ぐことができたら、病院に行ったり、ぶらぶらしたりしない、じーっとしていない。そうすると、地域という経済活動の舞台の中で、ものすごくいい好循環を生んでいくのです。じーっとしていて、何かをしてくれるためのお金というのは、お金がかかるばかりであり、何らそのお金が循環しないですね。でも、何かの形の中で自分が動き始めて、生産活動に従事していくと、稼ぎが出来て、使うという循環がどんどん生まれてくるのです。これが地域にとってものすごくいい形になっていきます。