税金編「令和6年税制改正」
参考 財務省作成「令和6年度税制改正の概要」
「令和6年度税制改正」(令和6年3月発行): 財務省
令和6年から適用されているトピック的な項目として以下のものがあります。
所得税関係
所得税・個人住民税の定額減税(令和6年所得税・個人住民税から適用)
- デフレ完全脱却のための一時的な措置として、納税者及びその配偶者を含めた扶養親族1人(いずれも居住者)につき、令和6年分の所得税3万円、令和6年度分の個人住民税1万円の減税を実施します。
- ただし、合計所得金額1,805万円(給与収入2,000万円相当)超の高額所得者は対象外とします。
- 住宅ローン控除等の税額控除後の所得税額から減税(住宅ローン控除については、年末調整又は確定申告で調整します。
- 給与所得者については、減税開始前に、実務上利用可能な扶養親族等の情報に基づき、各月の源泉徴収税額から控除する税額を決定し、年末までに扶養親族等の情報に異動があった場合には、年末調整又は確定申告で調整します。
給与所得者に対する実施
- 6月以降の源泉徴収税額から減税
- 6月に減税しきれなかった場合には、翌月以降の税額から順次減税
公的年金受給者
に対する実施
- 年金機構等の公的年金(老齢年金)は、6月以降の源泉徴収税額から減税
- 6月に減税しきれなかった場合には、翌々月以降の税額から順次減税
不動産所得・事業所得者等
に対する実施
- 納税の機会に減税
- 予定納税対象者については、予定納税の機会に減税
※6月の第1回予定納税通知の機会に本人分の減税後の額を通知。第1回予定納税の納付期限については、7月末から9月末に延期。
- それ以外の方は確定申告で減税
住宅ローン控除の拡充(令和6年以降入居から適用)
- 現下の急激な住宅価格の上昇等の状況を踏まえ、子育て世帯及び若者夫婦世帯における借入限度額について、子育て支援の観点からの上乗せを行います。
- 新築住宅の床面積要件について、合計所得金額1,000万円以下の者に限り40㎡に緩和します
【改正前:令和6年・7年入居】
新築・買取再販住宅 | 認定住宅 (認定長期優良・認定低炭素) |
ZEH水準省エネ住宅 | 省エネ基準適合住宅 |
---|---|---|---|
借入限度額 | 4,500万円 | 3,500万円 | 3,000万円 |
【改正後:令和6年入居の場合】
新築・買取再販住宅 | 認定住宅 (認定長期優良・認定低炭素) |
ZEH水準省エネ住宅 | 省エネ基準適合住宅 | |
---|---|---|---|---|
借入限度額 | 子育て世帯等 | 5,000万円 | 4,500万円 | 4,000万円 |
それ以外 | 4,500万円 | 3,500万円 | 3,000万円 |
- ※子育て世帯等:18歳以下の扶養親族を有する者又は自身もしくは配偶者のいずれかが39歳以下の者。
- ※被災地向けの措置についても、上記同様に借入限度額の子育て世帯等への上乗せを行うほか、床面積要件の緩和を継続する。
- ※所得税額から控除しきれない額については、改正前と同じ控除限度額の範囲内で個人住民税額から控除する。この措置による個人住民税の減収額は、全額国費で補塡する。
令和6年分の年末調整における留意事項等
令和6年の年末調整の計算に当たっては、基本的計算方法については、昨年の令和5年分から比べて大きな改正事項はありません。しかし、令和6年の税額計算に限っては、定額減税の税額控除が適用されます。
※本年より、年末調整の税額計算等を簡単に行うことができる「年末調整計算シート」(Excel)が国税庁ホームページの「年末調整がよくわかるページ」(https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index.htm)に掲載されています。
国税庁 「令和6年分 年末調整のしかた」に記載している情報のほかにも、次の情報などが国税庁ホームページに掲載されていますので、そちらもご活用ください。
【源泉徴収義務者用情報】
- 電子計算機等による年末調整
- 所得の種類・収入・必要経費の範囲等
- 令和6年分 年末調整チェック表
- 年末調整Q&A
- ダイレクト納付の手続き
- 非居住者への支払がある場合
- 源泉所得税のキャッシュレス納付
【給与所得者用情報】
- 各種控除について(給与所得者用)
- 年末調整を受ける際の注意事項
- 各種申告書の記載例
- 還付申告に当たっての注意事項
【源泉所得税のキャッシュレスでの納付方法(源泉徴収義務者)】
掲載場所:国税庁ホームページ 源泉所得税の納税手続
https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index/gensen_nouzei/cashless.htm
贈与税の税率構造
令和5年度税制改正によって、暦年課税された贈与財産の相続財産への加算の範囲が改正され、令和6年から適用されています。なお、税率等の改正はありませんでした。
暦年課税の場合において、直系尊属(父母・祖父母)からの贈与により財産を取得した受贈者(財産の贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者に限ります)については、「特例税率」を適用して税額を計算します。
この特例税率の適用がある財産のことを「特例贈与財産」といい、特例税率の適用がない財産のことを「一般贈与財産」といい「一般税率」を適用します。
基礎控除後の課税価格 | 一般税率 (一般贈与財産) |
特例税率 (特例贈与財産) |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | 10% |
300万円以下 | 15% | 15% |
400万円以下 | 20% | |
600万円以下 | 30% | 20% |
1,000万円以下 | 40% | 30% |
1,500万円以下 | 45% | 40% |
3,000万円以下 | 50% | 45% |
4,500万円以下 | 55% | 50% |
4,500万円超 | 55% |
相続時精算課税制度の適用要件
令和5年度税制改正によって、相続時精算課税制度について大きな改正が行われ、令和6年から適用されています。
次の「①対象者」の要件に該当する贈与を受ける場合には、贈与者毎に「暦年課税」または「相続時精算課税」の選択ができます。このとき、相続時精算課税を選択した場合、選択した財産は贈与者の死亡のときに相続税の課税価格に算入し、納付した贈与税額は相続税額から控除します。
なお、この改正により、相続時精算課税が使い勝手がよくはなりましたので、暦年贈与とのメリット、デメリットをよく理解したうえでその選択を判断する必要があります。
①対象者(年齢は贈与の年の1月1日現在となります)
- ア.贈与者(贈与する人)は60歳以上である父母又は祖父母
- イ.受贈者(贈与を受ける人)は18歳以上の直系卑属(子や孫)である推定相続人又は孫
②税務署への届出・申告
この制度を選択しようとする受贈者は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの申告期間内に「相続時精算課税選択届出書」と一定の書類を添付して税務署へ申告します。なお、一定の場合の贈与については「相続時精算課税選択届出書」のみを提出でよい場合もあります。