「知ろう小児医療守ろう子ども達の会」
の立ち上げ

阿真 京子 氏

知ろう小児医療守ろう子ども達の会 代表

約7年前に会を立ち上げました。そのきっかけは、今年10歳になる私の子どもが、赤ちゃんのときに痙攣を起こして救急外来に運ばれたときのことでした。真夜中に救急外来に運ばれたのですが、待合室は子どもであふれかえっている、親御さんたちはとてもイライラしている、その中で先生方は重症であったうちの子どもを診ながら軽症の子どもたちを診ている、という状況に私はとてもショックを受けました。

自分はとても健康で病院にかかることがほとんどなかったので、こんな状態だということを全く認識していませんでした。先生方は本当に疲労と焦りの中で、目の前の子どもを助けようと一生懸命してくださっていた姿を拝見して、なにか日本の小児医療の現場でおかしなことが起きているなということを感じたのが、最初のきっかけでした。その後、救急車によって搬送される乳幼児の約8割が入院の必要がない軽症の患者であることをニュースなどで知り、私たち親がもう少し子どもの病気について知ることで、小児医療の現状を変えることができるのではないかと考えたのです。

まず子どもの病気について自分が知りたいと思ったのですが、なかなか学ぶ機会がなかったので、なければ作ってみようと思い、この会を作りました。当時はすぐに会の活動を引き受けてくれるような小児科の先生もいなかったので、最初は寂しく1人で細々と活動していました。

私は医療者の疲弊をすごく感じたので、最初は「お医者さんってこんなに大変なんだよ」というメッセージを伝える活動をしていました。でもこのメッセージでは、なかなか仲間が集まりませんでした。医療者のことを考える前に、まず親がなぜ救急に行くかということ、不安だから、知らないから行ってしまう、という状況に対して、私の認識が至っていなかったのです。

活動する中で、お母さん・お父さんたちは本当に心配で、分からなくて、先生に大丈夫だと言ってもらいたくて、自分の子がどうにかなってしまうのではないかということで病院に行っているのだと気付く場面が何度もありました。だから「先生が大変ですよ」と言う前に「お母さん・お父さんたちの心配を減らす活動なのだよ」というメッセージを伝えることに変化させていきました。そうしているうちに講座に参加してくださった方の中から仲間が増えていきました。


そこから協力してくださる小児科の先生のつながりもできて、立ち上げて1年弱ぐらいで朝日新聞に紹介されたことがきっかけとなり、テレビでも特集を組んでいただいたりと取材が一気に増え、会はだんだん大きくなりました。現在は首都圏にお住まいのママを中心に全国に100名程の会員と、協力医と呼んでいる医師40名と活動をしています。