地域興しは「つぼを知る」ことから

横石 知二 氏

株式会社いろどり代表取締役

―まず、映画『人生、いろどり』が公開され、ミニシアターランキングでも9月15日から2週間連続で1位ということで、大変ヒットしていますね。
この映画でも示されていますが、超高齢社会を迎えた今、年齢に関係なく私たち一人ひとりに役割があれば輝いて生きていけるということを見事に教えてくれる映画だったと思います。一方では、震災から既に1年半以上経過していますが、地域資源を生かし、健康でいきいきと働く上勝町の皆さんの姿は、これも被災地の復興に対して大きなメッセージになっているだろうと思います。
そういったことも踏まえ、これからの地域の再生、あるいは地域の活性化に向け、いま何が必要だと横石さんはお考えでしょうか。

私自身は地域再生をやろうと思ったわけではないのですが、結果的に地域が元気になっていったということです。いま一番必要なのは、私はプロデューサーの存在だと思います。これが日本はあまりにも少なすぎるというか、ほとんどいないと言ってもいいと思います。地域というのは、それぞれの価値観を持った人がいるので、「あっ、この人はこういうことができるな」とか、「この人はこういうのが得意だな」とか、「こういうことをやったら面白いな」というようなことを組み立てて舞台をつくれる人、これがまさに地域プロデューサーの存在だと思います。

それが本当にいないし、そういうことをしようとする人に対し、わりと日本は応援ができていない。足を引っ張ったりするような傾向が非常に強いですね。

大学あたりとも連携をしながら、若い人から順次、プロデューサーを育てていくようなことをやるときが来ているのではないかと思います。私は、これがまずは一番のカギになると思っています。
私の場合は、「つぼを知る」という言葉をよく使うのですが、人はつぼが見えてくるとものすごい力を発揮します。おばあちゃんがコンピューターを使ったりするのもそうですが、普通で考えると絶対にできないことです。

例えば、震災被災地の人でも、その人たちの持っている力というのは、ものすごいものがあると思っています。それをどうやって引き出せるかということです。人間はいやなことや、好きなこととか、自分にとって気に掛かることとか、こういうことが自分の中にすごく身近になってくると、何か気持ちがぐーっと動いてくるところがあるのです。それが私の考えている「つぼ」という部分です。

そのつぼを見抜き、それをどう組み立てるかということが、プロデューサーのすごく大切な部分だと思っています。