【書籍】何のために働くのか 自分を創る生き方

「何のために働くのか 自分を創る生き方」

  • 著者:寺島実郎
  • 定価:本体750円+税
  • ISBN:9784166602915
  • 判型:新新書
  • 頁:224頁
  • 刊行:2013年06月
  • 発行所:株式会社 文藝春秋
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本書紹介


私たちは普段、働く意味を考えながら仕事をしているだろうか。
現在、非正規労働者は2,000万人を超え、雇用者全体に占める割合も38.2%と過去最高を更新し、満足いく雇用形態で働いている人は少ないと言われている。また、若者の就職難などにより、人は何のために働くのかという疑問を抱き、迷いながら人生を生きている人も多いであろう。
本書は、働く意味の本質、経済情勢との関わり、生きるとは何かなど、不透明な道から脱却し正しい道へのヒントを与えてくれる、人生の目的を探る本である。
まず、現在の学生の就職活動というのは、沢山の大手企業にエントリーシートを送るための活動になり、内定がもらえなかったら、就職失敗という考えの学生が増えているということである。一方、中小企業は人材不足に悩まされ、ミスマッチが起きているのが現状である。
その要因として、自らを見つめて、自分は何がしたいのかということに正面から向き合っていないままに、安定思考を求めて大企業への就職を希望し、就職活動をしていることがあげられる。その結果、思っていた仕事と違ったという理由で転職してしまうケースがあり、厚生労働省の調査によると、男女共に20~24歳の若年層の転職率が他の年代に比べて高くなっている。
本書の中で、寺島氏は「自分探しをするために転職をするのではなく、今目の前にある仕事を精一杯行い、仕事を通して、新しい自分がみつかり、自然と新しい道が開けてくる」と言っている。
働くことで大切なことは、「稼ぎ」と「勤め」を両立させるということであるということだ。ただ単にお金を稼ぐために働くのではなく、社会的参画をして社会に貢献している誇りを持つことが大切であるということを、強く訴えかけている。働く喜びを見出しながら自分らしく生きていくことは、容易なことではないが、実現にむけて、前進していくことを心がけていきたい。
そして寺島氏が歩んできた人生、世界を飛び回り様々な国で様々な人との出会いから生まれた経験を紹介しながら、働くことの意味、生きる意味を問いかけている。また、自分は何がしたいのかということを考え、自分の人生を自ら創造していく力を身につけることも大切であると言っている。残念ながら、現代の若者は時代を切り開くような、「圧倒される大人」に出会えていないことが多いが、先人たちの生き方について本を読んで学ぶことなど、情報社会の今の時代だからこそ、様々な巡り会いができることがあるのかもしれない。
これから社会人になる人、仕事で悩んでいる人に限らず、働く意味を深く知りたいと思っている人にも、読んで欲しい一冊である。そして、人生の目的を探り、働くことを通して、より豊かな生き方を多くの人に感じてもらいたい。


(A.T.)



本書の構成


  • 第1章 「働く意味を問う」
  • 第2章 「創造的に働くフロントランナーに学ぶ」
  • 第3章 「わが人生を振り返って」
  • 第4章 「新しい産業社会への視線-時代認識への示唆」
  • 第5章 「企業の見極め方」
  • 第6章 「人は何のために働き、そして生きるのか」