年金制度編「厚生年金保険と共済年金の一元化」
従来、公的年金制度には、「国民年金」、「厚生年金保険」、「共済年金」の3種類があり、その人の職業などにより加入する年金制度が決まりました。
平成27年10月1日から「被用者年金一元化法」により、これまで厚生年金保険と共済年金(国家公務員共済組合、地方公務員等共済組合、私立学校教職員共済)に分かれていた被用者の年金制度が厚生年金保険に統合されました。
新たな公的年金制度の仕組み
(注)上記図表には「職域部分」の表記がありませんが、平成27年9月30日までの共済年金に加入していた期間分は平成27年10月1日以降も、加入期間に応じた「職域部分」が支給されます。
従来の共済年金は厚生年金保険に統合された後も、事務処理などは引き続き各共済組合(私学事業団を含む)が組合員(加入者)の年金記録の管理や年金の支給を行います。
なお、共済年金独自の制度であった「職域部分(3階部分)」は廃止されましたが、平成27年9月30日までの共済年金に加入していた期間分については、平成27年10月1日以降も、加入期間に応じた「職域部分」が支給されます。
また、平成27年9月30日までの期間と平成27年10月1日以降の期間の両方がある場合、平成27年9月30日までの期間に応じた「職域部分」と平成27年10月1日以降の期間に応じた「年金払い退職給付(新設)」の両方が支給されます。
国民年金に加入している人は「被保険者」と呼ばれ、①「第1号被保険者」、②「第2号被保険者」、③「第3号被保険者」と3つに分かれています。これを「種別」といいます。
平成27年10月1日以降、共済年金は厚生年金保険に統合され、それに伴い、第2号被保険者(厚生年金保険)の被保険者区分が次の4区分になりました。
①第1号被保険者
20歳以上60歳未満の日本に住んでいる自営業者や農業者、学生、無職、フリーター等。
②第2号被保険者
会社員と公務員等(平成27年10月1日からは第2号被保険者が4区分になりました)。
被保険者区分 | 対象者 |
---|---|
第1号厚生年金被保険者 | 民間被用者(会社員) |
第2号厚生年金被保険者 | 国家公務員等 |
第3号厚生年金被保険者 | 地方公務員等 |
第4号厚生年金被保険者 | 私立学校教職員共済制度の加入者 |
③第3号被保険者
第2号被保険者に扶養されている年収130万円未満の20歳以上60歳未満の配偶者(妻または夫)。
ただし、平成28年10月以降は改正により、次の①~⑤の5つの要件をすべて満たす人は、厚生年金保険の第2号被保険者になります。
①週の所定労働時間が20時間以上、②勤務期間が1年以上見 込まれること、③月額賃金が8.8万円以上、④学生以外、⑤従業員501人以上の企業に勤務していること、さらに、平成29年4月1日から従業員500人以下であっても、次の㋐または㋑に該当する場合は、厚生年金保険の第2号被保険者になります。
- ㋐労使合意に基づき申出をする法人・個人の事業所
- ㋑地方公共団体に属する事業所
従来、厚生年金保険と共済年金の間では未支給年金の給付範囲の違いなど制度間の差異がありました。 統合化以降は基本的に厚生年金保険に統一されました。
共済年金 (平成27年9月まで) |
厚生年金保険 (平成27年10月以降) |
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被保険者の年齢制限 | 年齢制限なし (私学共済を除く) |
70歳になるまで |
未支給年金の給付範囲 | 遺族(亡くなった人によって生計を維持されていた配偶者、子、孫、祖父母)、または遺族がないときの相続人 | 亡くなった人と生計を同じくしていた配偶者、子、孫、祖父母、兄弟姉妹または甥姪などの三親等内の親族 |
障害給付の支給要件 | 保険料納付要件なし | 保険料納付要件あり (原則)初診日(死亡日)の前々月までの保険料納付済期間および保険料免除期間を合算した期間が3分の2以上必要 |
遺族共済年金の転給制度 | 先順位者が失権した場合、次順位者に支給 | 転給制度なし |