第1部:基調講演①

超高齢社会を迎えた日本の未来を展望する

村木 厚子 氏前厚生労働事務次官

「全員が社会参加を目指し、その人に合う働き方ができる、 最適配置・最大能力発揮の実現が不可欠」

村木氏は、本シンポジウムのテーマにある「破綻」を防ぐためには、「出ていくコストを抑えつつ、社会保障を強化すること」と「支え手を増やして入ってくるお金を増やす」という二つの手立てがあると述べられました。

「出ていくコストを抑えつつ、社会保障を強化すること」のためには「社会保障と税の一体改革」や地域に合わせた柔らかな仕組みが必要であり、「支え手(働き手)を増やす」という面では、女性はもとより働きたい高齢者や非正規の人が、個人にあった働き方を選択できる仕組みの構築が必要で、これからの日本には、危機意識を持って全員が社会参加を目指し、その人に合った働き方ができる最適配置・最大能力発揮の実現が不可欠だと語られました。

第1部:基調講演②

2025年の日本 破綻か復活か

駒村 康平 氏慶應義塾大学
経済学部教授

「まずは貧困や格差の問題を解決すべき。新たな経済に対応していくためには、社会全体が包括的に成長していくような仕組みづくりが必要」

駒村氏は、「貧困や非正規労働者の拡大による所得格差の問題」、「少子高齢化に関わる労働人口の減少」、「政府の膨大な累積債務」という三つの問題を提起され、これら三つの問題は相互に関連しているため、バラバラではなく一体的に解決方法を探っていかなければならないと述べられました。

今後の社会保障改革では、まず貧困や格差の問題を解決すべきで、若い世代が将来に希望を持てるように賃金の引き上げはもちろん、住宅の補助や児童手当、教育費の補助などを充実させていくことが必要であり、また、これからの時代、新たな経済に対応していくために、社会全体が包括的に成長していくような仕組みづくりが必要だと述べられました。