日本の医療の問題点とは
―会の活動をされていて、阿真さんが感じる日本の医療に対する問題点、危機感について、具体的にどういった場面で感じるかということも併せてお聞かせください。
まず、医療を知らない、病気のことを知らないということが非常に大きな問題だと思います。私はこの会を始めてから今まで80回以上医療に関して講座を受講してきましたが、やっと小児の医療についてほんの少し分かるようになってきました。
最初は私も病気になったことがなくて、普通の日本の学校を卒業して、特に医療の問題に関心もなく過ごしてきたので、初めて子どもが病気になったときは何も知らないという状態でした。そこから自分が知りたいと思って本を買ったり、新聞を読んだりと知識を少しは増やすことはできたのですが、医療の問題は人が生きていることの問題ですので、特別な人が特別な勉強をして学ぶことではなくて、みんなが知っていなくてはいけないことだと思います。
活動の中で、最初は母親になってから学ぶ機会がないということにとても驚きました。母親学級や乳児健診でも医療について知る機会はないということに疑問を持ったのです。そもそも母親になる前にも、私たちが小さい頃からの教育課程において、医療について学ぶ機会が本当にないということを実感として持っています。
どのタイミングであっても、医療や病気について知っておくことはとても大事です。医療者はずっと医療について学んできていますが、私たち一般の市民は知りません。知識の差や教育の差で先生方が言ったことを十分に理解していないことで問題が大きくなったり、溝ができたりということが起きています。もう少し私たちが病気について学べる環境を整えたいと思って活動もしていますし、それがとても大きな問題だと思っています。
次に先生方や看護師さんたちが非常に忙しくて、疲弊していることもとても大きな問題だと思っています。会員の中には、お子さんが小さく生まれてNICU(新生児特定集中治療室)に何カ月もいたという方が結構いらっしゃるのですが、その方々が「NICUのドクターはずっと病院にいた」と言っていました。小さな命を守るために一生懸命頑張ってくださっているのですが、その先生方の健康が守られていないというのはおかしな問題だということに気付かれて、私たちの会に入ってくるという方が多くいらっしゃいます。日本の小児医療は非常に疲弊していると感じていて、その状況を改善したいと思ってこの活動をしています。