活動によって変わった日本の医療
―会の積極的な活動によって、講座に参加するお母さん、お父さんたちや協力してくださる医師の声などから、阿真さんの周辺で変わったなと感じることがあれば教えてください。
まず、7年近く前に子どもの病気を知る講座をインターネットで検索したときに、私は探すことができませんでした。聞きたいと思って、どこへでも行くという気持ちで探していたのですが、探すことができなかったのです。今、検索していただければ分かると思うのですが、いっぱい出てきます。まずそれが大きく変わった点ではないかと思います。
ただ、そういった講座が自治体で継続的に定期的に行われるようになったかというと、まだそういう自治体は多くありません。私が在住している杉並区では、今年から児童館で定期的に継続的に開催されるようになりましたが、全国的に見るとまだそういう状況にはなっていないと思います。しかし単発ですとか、病院主催、自治体主催、ママサークルや、さまざまな保育園、幼稚園、いろいろなところで子どもの病気について知るということ自体は、全く珍しいことではなくなってきていると思います。
それから今は東京都の委員など、さまざまな委員を務めているのですが、4~5年前に私がそういった場に行った時、明らかに違う存在というか、ほとんど全員医師で院長先生ばかりで、60代、70代の男性ばかりの中に私が入り、たくさん手を挙げても当ててもらえないということも最初は経験しました。そういったこともありながら、地道に活動してきたことや訴えてきたことがとてもよく理解されるようになり、今では委員会の中でもこれは阿真さんに話を聞こうとか、お母さんたちからの意見をちょっと聞いてみようというような声も出るようになりました。
また委員とは別にしても、何か問題が起きたときに「これについてどう思う?」と厚労省やいろいろなところからお電話をいただいて、私たちが意見を言わせていただくことが増えてきました。それは本当に当時からは考えられないことで、当時は一般市民の意見はそんなに重要視されていなかったと認識しています。すごく変わったと思っています。
それから、厚労省の出産育児一時金の直接支払制度という問題で私が委員を務めたときには、私たちがお母さんたちや開業医の先生方の声を集めて厚労省にメッセージを伝えたのですが、私たちの思いが通じて制度が変わるということがありました。厚労省の方が何度も私たちの話を聞く場を作ってくださって、最終的には「直接支払制度」の改善とともに「受取代理制度」も利用できるように変更してくださり、「直接支払制度」によって閉院に追い込まれていた施設が存続できるようになったのです。ほとんど決定していたものを覆してくださったことだったので、それは私たちにとっても非常に大きなことだったと思っています。